河口で撮った写真

535 名前:陸自(現職) ◆d5En5fvPAM :03/05/05 23:30
高校生の時、夏休みだったので深夜の河口へ 
夕涼みがてら仲間数人とバイクで行ったんです。 
着いた頃は零時を大きく回り、持っていったカメラの 
フィルムが無くなる頃には午前一時ごろだったと思います。 

最後の一枚を撮り終えて、さあ帰ろうかとしたときに 
友人の一人がバイクで事故を起こしてしまいました。 
彼は、河口に架かる約500メートルはある橋の 
欄干に何度も何度もぶつかりながらも、かろうじて転落せずに 
済んだのですがかなりの重症のようでした。。 
後日、お見舞いに行くついでにDPEに寄って写真を受け取り、 
その足で病院に向かいました。 

病室では、彼の意外と元気な姿に安心しながら、たった今、 
現像が終わって持ってきた写真を、一枚一枚彼に渡しながら 
馬鹿話をしていたのですが、最後の一枚、そう、彼が事故を起こす 
数分前に撮った最後の一枚になった時、私はどうしてもそれを 
彼に渡す事が出来ませんでした。なぜなら、そこには海のほうから 
白く伸びる蛇のようなものが、四人並んだ私達の頭の上を端から 
順番に値踏みするようにジャンプしていき、最後に事故を起こした 
彼の身体にグルグル巻きに巻き付いていたからなのです。 
見せてくれと、いぶかしむ彼に無理やり話題を変え、そそくさと 
私達は病室を後にしました。 
実は、その河口は海で遭難した人たちの魂が帰って来るところとして 
地元の人たちには恐れられた場所、という事を後になって知りました。 
「ああ、やっぱりお盆の時期にあんなところに 
行くもんじゃないなあ」と、やり切れない気持ちになったのを、今も 
忘れる事が出来ません。 

長文・駄文、失礼 

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