刑事の叔父の話

223 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ :03/04/25 18:37
俺がまだ小学校の時、聞いた話。 

俺の叔父は刑事で、捜査一課だか二課で働いているのだが、 
その叔父が風邪を引いてしまい、独身者には病気は辛かろう、と、 
俺の両親が心配して、療養の為に俺の家に泊まらせていた。 
叔父は外見はヤクザにしか見えないぐらい怖い人相なのだが、 
その叔父が、かわいいドテラを着て、咳き込みながら茶をすすっている姿は 
とても珍妙で、いつもは近寄りがたいのだが、その日は叔父と一緒にコタツに入って、 
俺の両親と一緒に、珍しく話しこんでいた。 
「叔父さんもねー。いつもは風邪なんて気合で治すんだけどねー 
「今度のはちとヤバイ気配でね。ちょうど、君のお父さんから電話もあったんで、 
「お世話になる事にしたよ。叔父さんが働いてるトコでは、もう3,4人も倒れてね。 
「こりゃー本当にヤバイわな。君、怖い話って大丈夫? 聞いてみたい? 
「叔父さんはね、夜中に張り込みやってて、そのせいで風邪ひいたんだ。 
「同じ職場の人と二人でね。カイロも張ってたし、暖かいコーヒーも飲んでたんだけどね。 
「慣れた事なのに、風邪ひいたよ。一緒にいたヤツも。近くで待機してた奴らもね。 
「その時、叔父さんはここから遠くの公園にいたんだけどね。 
「知ってる? そこの公園にはこんな怖い話があってね・・・。 

「そこの公園にはホームレス・・・・よく昼間に汚い格好で歩いてる人達だよ・・・・が殺されたっていう噂があってね。 
「会社で怒られて、イライラしてる大人達が、そのホームレスを殴って、殺してしまった。 
「遺体は放置され、しばらくして発見された。でもね、近所の人たちは喜んだよ。 
「そのホームレスは子供が嫌いで、よく子供を虐めたり、女の子にイタヅラするっていわれてた、 
「評判の悪い人だった。でもね、しばらくして、その男の幽霊が公園に現れて、子供を襲うという話が出た。 
「夜に子供を連れた家族がその公園を通りかかり、ふと子供が見当たらないと思ったら、 
「遠くに自分の子供が倒れてる。片方の目をくりぬかれて、ね。 
「子供が言うには、いきなり変な男が現れて、スプーンを目に差し込んできた、と言う。 
「襲われた子供はみんな同じ事を言った。そして、家族はなぜか被害届けを出さない。皆、共通でね。 
「なぜだかわからん。そんな大事件の被害届けを出そうともしない。理由は・・・・わからん。 
「とりあえず夜の公園には、絶対近づかない事だ、な。 

俺はその胡散臭い話を聞き終えると、それ嘘でしょ、と笑った。 
なんで幽霊になってまで子供襲うの?なんで自分を殺した人を呪わないの? 
なんで幽霊なのにスプーンなんて使うの?などといった疑問を言うと、叔父はヘラヘラ笑った。 

「あ~ウソウソ。やっぱ引っかからないか~。君も大人になったな~。 

俺は少し頭にきて、隣の子供部屋に引っ込んで、布団に寝込んだ。すると、隣から叔父の声が聞こえてきた。 
どうも叔父を労わっているようだ。 

「いや、悪い。子供にまで変な話聞かせてしまって。自分でも下手な話だったな。 

「でもな、兄貴、ホームレスが殺されて幽霊になったって話でもなきゃ、事件の辻褄が合わんのだ。 

「どうして子供の目をえぐる?どうやって現れて、どうやって消える? 

「ただな、あの公園は異常だ。俺は風邪で済んだが、もうあの公園は勘弁だな。 

「俺達が張り込み時に複数で行動するのは、人間相手だけとも限らんからだぜ。 

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