無音の世界

290 :本当にあった怖い名無し:2011/08/31(水) 18:20:27.17 ID:iCK8OeodP
時空のオッサンスレの方がいいのか・・・
つい最近の話なんだけど。
その日は、いつも朝5時には起きて、6時前に家を出る夫が
7時頃だというのに隣で寝ていた。
慌てて夫を起こし2階の寝室から1階のリビングに下りたんだけど
なんか違和感がある。
上手く説明できないんだけどさ。
自分の家なんだけど、自分の家じゃないの。
ちょっとずつ色々な所が違う。
家具の配置とか、電話の機種とか。
テレビをつけたら、何も映らない。
窓の外を見てみても、いつもなら犬の散歩の人や
ジョギングしている人がいるのに誰もいない。
その時間、いつも友達と立ち話をしている隣のお婆ちゃんの
姿も見えない。
この世の中に夫と二人だけになってしまった感じ。
だってシーンとしているんだよ。車の音も、電車の踏切の音もしない。
いつもなら五月蝿い蝉の声も一切聞こえなかった。無音の世界。

夫と顔を見合わせたら、声に出していないのに話ができた。
「ここ、変じゃない?」「他の人はどこ行っちゃったの?」
本格的に変だということに気がついて二人とも泣きそうになっていた。

その時、突然電話が鳴った。
驚いて受話器を取ると、10年も前に亡くなった親戚だった。
幼い子供たちを残して、若くして無くなってしまった人。
彼は生きていたときと同じように陽気で楽しそうにしていた。
「子供たちのことは今でも見守っている、大きく成長して嬉しい」
そう話していたんだ。
話が終わって電話を切ったときだった。
突然、男女が私たちの目の前に出現した。
「ここは、あなたたちの住む世界じゃない。私たちについてきて」
二人は私たちについてくるよう手招きをした。
次の瞬間、大都市の真ん中にあるバスターミナルに到着
一台のバスに4人で乗り込んだ。
40代ぐらいの男性は運転手、20代前半の若い女性はバスガイドの格好をしていた。
「少し揺れますけど、大丈夫ですよ。今から時空を超えてトリップします」
本当にバスはガッツンガッツン揺れた。ちょっと怖いくらい。
でも、場所は動いていないんだ。同じバスターミナルのまま。
「もう戻りましたから、じゃあね。もう迷ってはいけませんよ」と
言われて、気がついたらベッドの中にいた。まだ5時だった。
夫を起こして事の顛末を話したら、彼は覚えていないという。
夢だったのか現実だったのか・・・私には現実としか思えない出来事だった。

前の話へ

次の話へ