ハルカ


330 :本当にあった怖い名無し[sage] :2010/03/09(火) 08:05:18 ID:UXTKhA/Z0
高校生のときに付き合っている彼女がいた。
至って普通の真面目な子だったんだけれど、
時々、えらい嬉しそうな顔で不思議なことを言う子だった。
特に何回も繰り返していて印象に残っているのが、こんなやりとり。「わたしは長生きはできないけれど、その代わりにいつか普通の人にはできないことができるようになるって言われた(ニコニコ」
「誰に?」
「それはひみつー」
「なんだそれwてか普通の人にできないことって何さ?」
「まあ、そのうち君も分かると思うよ、多分」
問い詰めても結局最後はこんな風にはぐらかされた。
そんなこんなで日常を過ごしていたんだけれど、卒業目前というときに、彼女が亡くなった。
茫然自失となりながらも卒業式を終え、大学進学のために街を離れた。
それ以降は帰省するたびに彼女の墓に寄り、お供え物や線香をあげるようになった。

この春休みも3日前に帰省して、昨日は彼女の墓にお参りに行ったんだけれど、そのとき不可解なことが起きた。いつも通り、お寺の売り場で線香を買って、その束を点火装置に入れようとしていた。
その時、7、8才くらいの女の子が俺の右横に立っているのに気がついた。
びっくりして目を合わせると、その子がペコリとお辞儀をしてこう言った。
「いつも来てくれてありがとうございます」
?と思ったけれど、ああ、住職のお孫さんかなと思って
「いやいや最近なかなか来られなくて」なんて返した。
「お母様はお元気ですか?よろしくお伝えください」
なんて言うもんだから、さすがお寺の子、マセてるなーという印象だった。
それでしばらく話し込んでいると向こうの方から女性が駆け寄ってきた。
女性はその子を見るなり、
「何してるの!こんなところで」と叱った。
どうやらその子の母親のようだった。
「すいませんうちの子がご迷惑をかけてしまって…」
「いえいえ、そんなことないです」
母親は「ほんとにスミマセン」と頭を下げてその子の手を引きながらこう言った。

「ハルカ!お母さんからはぐれちゃ駄目ってさっきも言ったでしょ!」そこでドキっとした。
亡くなった彼女の名前、ハルカっていうんだよ。
帰り道、車を運転しながら彼女と昔したやりとりや、今日のハルカちゃんの発言なんかを考えてみると、
全てが繋がるような気がして、涙がこぼれそうになった。
ただの偶然だと言われれば特に否定はできないけれど。
後で母親に聞いたんだが、あのお寺の住職はまだ若く、お孫さんはいないらしい。
以上、霊感のない俺のちょっとした不思議体験。長文スマソ。

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