通夜の晩

401 :本当にあった怖い名無し[sage] :2010/03/12(金) 13:25:28 ID:YExgIYRdO
僕が20歳くらいの時、母方の祖父が亡くなり、葬式に出る為に家族で東北のA県にある母の実家に行きました。 
母の実家は戦前は地主だったとかで、かなり大きな旧家なのでうちの家族を含め、遠方から来た親戚には一家族に一部屋があてがわれ泊まりました。 
亡くなった祖父とゆう人はなかなか難しかった人で、酒を飲んで家族に手を上げたりもするなど、あまり良い評判は聞きませんでした。 
母の長兄などは通夜の席で、酒の上の冗談とゆう調子ではありましたが 
「やっと逝ってくれて、せいせいした」 
などと言う程でした。 
ただ僕の父だけは、皆はそうゆうがあの人は俺にだけは心を開いてくれていた。酒を呑んでは「あの娘(僕の母)を選んだあんたは目が高い」と誉めてくれたもんだ。 
などと祖父を偲んでいました。

確かに、祖父が僕の母を一番可愛がっていたとゆうのは5人いる母の兄姉らの間でも共通の意見だったようです。 
さて通夜もお開きになり、僕ら家族は祖父の遺体がある大広間のすぐ隣の小部屋に、父を真ん中に川の字に布団を敷いて寝ていました。 
真夜中、僕は金縛りに逢い目が覚めました。普段から所謂、睡眠障害とゆうやつでしょうか、覚醒しながら体が動かないとゆう体験は何度もしているのですが 
この時の金縛りだけは後にも先にも無い感覚でした、暗黒の中で誰かにグイグイと首を絞められているような苦しさでした。 
「な!!なんだ!!」 
とゆう父の小さな叫びで、急に金縛りが解けました。 
気がつくと僕は父に馬乗りになって、その首を絞めていたんです。 
僕も訳が判らず「いや…何でもない…」と誤魔化して、自分の布団に戻り眠りました。 
やっぱり祖父は最愛の娘を奪った父を本当は嫌ってたのかなぁ、なんてぼんやり思いました。 
不思議な感覚なのは、いつも小心で心霊話などは聴くだけでびくつく僕が、この時は 
「ああ、やっぱりこうゆう事ってあるのかもなぁ」と変に納得していた事です。 
今でも、この時のことだけは夜中に一人で思い返してもまるで恐怖を感じません。


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