自転車の警官

513 名前:J ◆tsGpSwX8mo :03/03/02 01:39
私が中学三年の冬休みに友人数名と言った小旅行での出来事です 

まあ旅行といっても日帰りで、地元から2~3時間くらい 
電車で行ったところの、この地方では結構有名な「滝」を見にいく 
と言うだけのものだったのだが、まあそれなりに楽しんでいた私は 
目的を果たしてさあ帰ろう、と言う時になんだか寂しい気持ちになり 
なにか思い出に残るような事をしたいと思った。 
「線路を歩かないか?」 
疲れきっていた皆の顔は、いきなり何を言い出すんだ?と目で訴えて来た。 
「だって、もうおそらくこのメンバーでここに来るという事は一生ないんだよ。」 
と付け加えた私は着いて来いと言わんばかりにフェンスを飛び越えて 
線路に出た。。誰も着いてこない… 

(つまらないことをしてしまったなぁ)と思い、うなだれていると 
「線路内に入って何てるっっっ!」 
と言いながら自転車で走ってく警官の姿が! 
(やべっっ)と思った瞬間皆が一斉に線路に入って来た 
「なにしてんだよ!?」と驚いた顔で言うと 
「撒こうぜ!!」と笑顔で返された。 
今まで走った事ないくらいのスピードが出た。 
皆大笑いしながら走っていた。 

一息ついた私たちは、昼間の風景と、日が落ちた後の風景との違いに、驚かされた 
そこがまるで異国の地のように思えた。 
まさに一寸先が闇だった。とにかく駅を目指した。 
「すみません、最寄りの駅は?」 
と何度聞いただろう。。。2時間くらい歩いた、すると後方から 
ゆっくり近付いてくる自転車の気配がありいつまでも着いてくるので 
「さっきの警察じゃないか?」と思いみんなで一斉に 
ダッシュしました。するとその自転車も着いてきました。 
ほどなくして偶然駅を見つけた私たちはその駅に駆け込みました 
もう警察はいませんでした。 
「案外しつこく無かったね。」などとしゃべりながら、 
良い思い出になったなどと満足していました。 

次の日その地方で、自転車による連続辻斬り通り魔が発生とのニュースが 
長閑な田舎を騒がせていました。 
超ネタバレ後日談でごめんなさい。 

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