お盆の訪問者

321 :虎 :2006/08/12(土) 06:30:49 ID:UwBV6ZBN0

僕の幼馴染に「えみこ」って女がいます。 
転校生えみこは色々な怖い体験を話してくれましたが、 
お盆になるとこの話を思い出します。 
たしか、話してくれたのは高校のときだったかな・・・。 

えみこが小学生の頃からの話。 
夏休みの中、母親がお勤めに出かけている間、えみこは留守番。 

ピンポーン!!! 

えみこが住む、アパートのチャイムが鳴る。 
ドアを開けるとそこにはたたずむ男性が居たそうです。 
背が高く、大きな体。 
怖くはなく、むしろ安心感があったそうです。 
じっと見つめるえみこの前から、スッと男は消えたそうです。 
それから毎年、決まってお盆の時期にその訪問者は現れる。 
引っ越した先でも同じくその男は現れる。 
毎年決まって、ドアの前で消えてしまう・・・。 

そして中学生に上がった年のお盆。 

ピンポーン!!! 

えみこが住む、アパートのチャイムが鳴る。 
ドアの前にはやはり、あの男。 
この年、初めて気がついた事があった。 
この男、真夏なのに黒いコートを着ている。 
黒いコート・・・・、見覚えがある。 
お母さんが大切にクローゼットに保管している古びたコート。 
「亡くなったお父さんのお気に入りだったのよ」と話してくれたコート・・・。 
気がつくとその男・・・お父さんの姿はなく、 
その後えみこの前にお父さんが現れることはありませんでした。 

お盆に死者が帰ってくるというのは、本当なのかもしれませんね。 

前の話へ

次の話へ