神社にある小屋

728 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:02/05/09 23:38
これは私の少年期の体験です。 
実話ですので、人名地名は一切省いて書かせていただきます。 

小学校の時、よく神社で遊んでいた記憶がある。 
神社は町の高台にあり、同じ敷地内に公民館や駐車場などの公共設備もあった。 
私はよくそこを友人達と遊び場にしていた。 
ある日、小学校からの帰り道に友人と二人で神社へいったところ、 
神社の建物の斜め向かい、つまり公民館の正面にプレハブで出来た家が建っていた。 
いつの間に建築したのかわからなかったが、結構立派だった。 
別に何の気にもならず、無視して友人と公民館の周りを駆け回っていると、 
突然友人が立ち止まり、プレハブの窓から誰かがこちらを見ている、と言った。 
私には確認できなかったが、確かにガラス窓のカーテンの隙間が開いている。 
それは私達が騒いでいたから、怒って睨み付けているのかな?と思い、 
その日はさっさと友人と帰った。それからしばらくは、神社には近寄らなかった。 

私達は中学生になり、よく学校帰りに買い食いをするのが日課だった。 
その日も友人と駄菓子屋で低料金のお菓子やラムネ等を買い、 
ドコで食おうか迷ってると、高台の神社を思い出し、そこへ行く事にした。 
同行していた友人は私とともに神社で遊んだ事を思い出した。 
そういやぁ、あのプレハブから誰かが覗いてたんだよなぁ、 
実はあの時、子供心に少しビビッって帰っちまったよなぁ。 
懐かしい。あれから何年か経ってるのに、まだ小屋は健在だった。 

小屋の窓はカーテンが開いており、ガラスを通して中に障子が見えていた。 
まだ夕方なのに部屋には明かりが煌々とついているのが障子越しにもわかり、 
誰かが居るのは明らかだった。 
私達はなんとなくそこの住人が事が気になり、二人で窓から覗こうと近寄った。 
小屋の床は地面から半メートル近く空間があり、玄関には怪談が設置されており、 
窓枠は私達の首から上あたり、少し高めに位置していた。 
奇妙な事に窓ガラスはとても新しくツルツルで、中が非常に良く見えた。 
障子の中に人影は無く、ただ部屋の蛍光灯がついているだけのようだ。 
大して面白くも無く、帰ろうとすると友人が窓ガラスに 
ペタペタ指紋をつけて遊んでいた。面白そうだったので、私もペタペタつけてみた。 

それから三日後、友人が学校の屋上から飛び降りた。 
救急車とパトカーが数台。クラブ活動していた私は他の生徒とともに、 
強制下校させられた。友人は木の枝や茂みのクッションにより一命を 
取り留めたようだった。彼は私の隣りのクラスであり、 
私に知らない人間関係やイジメに悩んでいたのかも知れない、と私は考えた。 
それは学校中の話題になり、私は見舞いに行くのにも神経を使わなくてはいけなかった。 
病室のドアを開けると、そこには中年の看護婦さんと、 
全身を包帯で巻かれ、眠っている友人の姿があった。看護婦から聞いたところ、 
彼は全身打撲と内出血、多数の擦り傷によって今は安静が必要だという。 
私はその顔まで覆われた姿に恐怖を覚えたが、平静を装ってベッド脇の椅子に座った。 
見ると、友人の両手が念入りに包帯で五指ともにグルグル巻きにされていた。 
気になった私はそれを看護婦に尋ねると、数日前に、彼は自分で指の表面を 
ぐちゃぐちゃに食いちぎったのだという。きっとノイローゼなのでしょう、 
とだけ言って看護婦は退室していった。すると、友人が目を開き、こちらを見た。 
彼は何かしきりに、包帯で包まれた手の指を動かしているようだった。 
「頼む、カーテンを閉めてくれ」と私に言った彼は、予想以上に落ち着いていた。 
安心した私に、彼はきつそうに口を開いた。 


「罰が当たったんだ。きっと。悪くない。俺達は悪くない。多分、もう大丈夫」 

私は結局その意味をわからず、彼はもう学校には来なかった。 
それから私達は会う事はなかった。それから私は平々凡々とした生活を送った。 
20歳を過ぎて、大学を卒業した私は久しぶりに実家に帰って来た。そして、 
古い知人達の口から、その友人は無事に県外の学校を卒業して就職できたようだ、 
と聞いて、肩の荷が下りたように感じた。彼が無事に人生を送っている事は 
何よりの朗報だった。 
この文を書く事にしたのは、昨日、久しぶりにバイクで神社を見に行ったからです。 
私の願いも空しく、小屋はあり、窓にはカーテンが閉まっていました。 
あの小屋を見て、当時を思い出すたびに、私は友人に深い感謝の念を感じます。 
彼に何があったがわかりませんし、あの小屋に何がいるのかもわかりません。 
ただ私には、彼に救われた、という感覚のみが残りました。

似た怪談を聞いたことがある。 
実話かどうかは知らない。 
オレの知っている話はこうだ。 

中秋過ぎた秋の夜、神社の傍を通ると鳥居の脇に 
なにかがうずくまっていることがある。 
なにせ夜なので遠近がよくわからずどのくらいの大きさなのか 
わからない。 
ネコにしては大きいなと思い近づくと、昔流行ったMA-1を羽織り、 
黒いジーンズにサンダル履きの男が膝を抱えている。 
「おまえ神社の中に入るのか」と男が尋ねる。 
入りません、というと、そうかといって男が 
サングラスをはずして追ってくるらしい。 
男はとてつもない形相で見ると絶対に腰を抜かしてしまう 
ので、逃げるのであれば絶対後ろを向いてはいけない。 

追いつかれると男とおなじ顔にされる。 

神社は入り口が二つ以上あるので神社の中に入って 
裏から抜けられれば逃げられる。 

走っている最中、境内で灯りが見えても 
絶対にその方に寄ってはいけない。 

灯りのほうに走って逃げると、それは小さな社で、 
社には窓があり、 
中は三畳の畳が敷いてあり、 
その向こうは障子になっている。 
障子は10センチ空いていて、人のよさそうなおばさんが 
座って横を向いて談笑しているのが見える。 

やれ助かったと思って窓をバンバン叩くと、 
障子の左側がすごい勢いで開いて、白装束で白目の大男が 
灯りの下をこちらに3歩であるいて来て、 
すぐにつかまってしまう。 

神無月の神社には気を付けよう。 

そういう話。 

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