実家

456 :実家 :2009/06/30(火) 07:17:48 ID:pBSRdnzuO
かなり長文で、すみません。
うちの実家の話です。

実家は、父の代で建てた家だから古い歴史はない。 
昔ながらの大工さんが建ててくれた家だ。 
だからか?居心地が良いと言うか…、安心出来て暖かい感じ。 
うちに遊びに来た人も皆、『心地良い』と言ってくれるそんな家。

私が幼い頃。 
はっきりと見た訳じゃないが、家に女の子がいる。 
なんて言うか…、家に居ると、時々、脳の中に、長い黒髪で小学生くらいの女の子が入ってくる。 
例えば、家の廊下を歩いていると、『あ、今、後ろに女の子がいる』って勝手にイメージが入ってくる。 
その女の子は、いつも穏やかに微笑んでいる感じ。

不思議な事に妹も、 
『見た事ないけど、私もお姉ちゃんと全く同じ女の子を感じる時がある』と言っていた。 
成長と共に、その女の子の感覚?はなくなり、私は一人暮らしを始めた。

ある日、母から父の仕事の都合で3年間だけ、家を離れる事になったと連絡が来た。 
その間、実家は賃貸として人に貸す事にした。

引っ越し前夜。
妹は風邪で高熱を出し2階の部屋で寝ていた。 
父は先に転勤先に行っていた為、母は一人で細々とした物をまとめていた。 
母が『この家を出るのは寂しいな』と浸っていると…

ゴトンッ!

2階から大きな物音がした。 
妹が起きたのかな?…と思った母は、階段の下から「起きたの?」と声をかけた。 
だが返事はない。 
不思議そうに2階を見上げていた。 
その時… 
『ありがとう、待ってるね』 
と、女の子の声が背後から聞こえ、同時に誰かが後ろを横切った気配を感じたらしい。 
後ろを振り返るが誰もいない。 
不思議に思いながら、妹の様子を見に行くと、熱はすっかり下がり熟睡していた。

賃貸する為、賃貸業者を家に呼んだ時にこんな事を言われた。 
「この築年数なのに、とても家の状態が良いですね。綺麗に使われている。大事に家をお使いになっていたんですね。家が喜んでますよ。」と。 
確かに母は、家族が集まるこの家を大事に使っていた。 
毎朝、玄関を掃き、床は雑巾で拭き掃除をし、庭の手入れもしていた。
あの女の子は家の何なのか…。 
現在は実家の家に両親が戻っており、仲良く暮らしている。

母は、今も時折、女の子の笑い声や気配を感じるらしい。

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