豹変

774 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2015/11/26(木) 06:52:36.05 ID:B2ghzKar0.net
母の話。 
母は父を早くに亡くし、十代の頃は、いわゆる不良というやつだった。 

高校生だった母はその日、祖母は夜勤の仕事に出掛け、弟(叔父)が部活の合宿でいなかったので、 
不良仲間を数人自分の住む団地へ呼び、酒にタバコだとワイワイ騒ぎ狂っていた。 
深夜の2時を過ぎた頃、ピンポーンと 
チャイムのなる音が聞こえた。 
こんな時間に誰だと母がチェーンロックの掛かったドアを開けると 
そこには見覚えのないじいさんが1人立っていた。 
すると「誰やー?」と不良仲間の1人のAが母の隣にやってきた。 
「なんやねんお前?」と母がじいさんにガンをつけると、じいさんは 
「自分は下の階の者だが、少し騒ぎすぎじゃないか」と母に言った。 
団地のあるある話なのかな。 
下の階の住人が、騒いでいる上の階の住人に苦情を言いに来たようだった。 
Aは酔いが回っていたのか 
「なんで、お前にそんなこと言われなあかんのや」 
と完全にキレてしまい、今にもじいさんに掴みかかろうとしていた。 
すると、さっきまでガンを飛ばしていた母が 
「すみません!」といきなり頭を下げた。 
「なんでお前がコイツに謝るんじゃあ!」 
Aは更にカッとなったが、それも母は必死に抑えつけ、「もう静かにしますんで。お騒がせしました。」と更にじいさんに謝り続けた。 
すると、じいさんも納得したのか 
「これからは気をつけてくれ。」と言い、階段を降りていく。母もドアを閉めた。 
納得のいかないAは「なんでお前あんな謝っとるんじゃ!」と母を巻くしたてたが 
母の様子は完全に参った…というものだった。 
おかしいと思ったAが「どうしたんや」と母を問い詰めると、母は言った。 
「チェーンしてたし、あんたの居た位置じゃ見えんかったんやろうけど、あのじいさん、右手に包丁持ってた。」

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