家へのお別れ

92 名前: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:2001/02/21(水) 06:16
僕が中1になった春に、大好きだったお爺ちゃんが肺癌で亡くなりました。
62でした。僕は孫の中では一番年上だったので、一番お爺ちゃんに可愛が
られていました。今でもすごく守ってもらっています。

さて、お爺ちゃんの七回忌も終わった初夏、お爺ちゃんが建てた家を、その
息子である伯父さんが建て直すことになりました。いよいよ明日は解体業者が
入るという晩のことでした。仏壇の前に寝ていたお婆ちゃんは、外に気配を
感じました。が、「あ~お爺ちゃんが来てるなぁ」と思って、安心して
寝てしまったらしいです。そして早朝。雨戸を開けてみると、その仏壇から
真っ正面に当たる部分の縁側が、じっとりと濡れていたのです。人の背丈
くらいの長さで、じっとりと。あまりそういうことを信じない伯父は、
「犬でも入り込んでシッコしてったんだよ」と言いましたが、なんの匂いも
ない。何にもまして不思議だったのは、その濡れっぷりでした。太い材木を
組み合わせて作っている縁側の、その太い材木の中心近くまで、水分が浸透
していたのです。お爺ちゃんが家にお別れを言いに来たんだと思いました。
お爺ちゃんはよくその縁側に座って、将棋を打っていましたから。

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