パクチ部屋

ゾッとする名無しさん@特選怖い話:2015/09/22 22:39 ID:5QAdGzEE
去年の夏、友人とハイキングに行った時の話です。
とある駅からバスに揺られて40分、山の麓に到着して林道を歩いていました。
林道を超え、少し開けた小石だらけの開けた道にさしかかった時、夏場だったため休憩をとることにしました。
そこには小さな神社?があり、お供えしてから時間が経ったのか、蜘蛛の巣が絡まった飴玉や五円玉が小さなお皿の上にのったりしていました。

そこで友人と彼女ができますようにとお願いをし、再び歩きました。
ところがおかしいことに、9時に山の麓に着いた時には晴れており、
歩き出してからまだ1時間弱しか歩いていないのにあたりが薄暗くなり始めてました。
天気予報では快晴のはずだったので少し違和感を感じましたが、そこまで気にはとめず歩き続けました。

その後はただひたすら歩き、途中で空を見上げたところ、空は夕焼け色に染まっていました。
携帯の指す時刻はまだ正午です。
友人とさすがにこれは変だと話しながら3分くらい歩いたら、山の資料館みたいなトイレ休憩ができそうな場所にたどり着きました。

そこでトイレを借りることにし、中に入ったところ電気はついているのに人は誰もいなくて変だなーと思いながら用を足しました。
そしたら友人が変なことを言い出すのです。

やっぱりここはおかしい。時計を見ろ。と。
私は携帯で時間を確認し、まだ昼回ったところだぞ?と言うと、ここの時計を見ろ。と、資料館の時計を指差すのです。

その時計は4時を回っていました。やっぱり変だ!と友人は他の友人に連絡をとろうとするも圏外。
とりあえず資料館に、人がいないはずがない。という結論に至り、あたりをさがしました。

受付の奥にさらに部屋があり、そこには木製の札がドアにぶら下がっていて、「パクチ部屋」と書いてありました。
それがなんなのかもよくわからずドアを開けると、部屋の内部はわけがわからないほど散らかっており、強盗でも入った後のような有様でした。

しかし、パクチ部屋のテーブルには死んだダンゴムシが綺麗に並べられていました。
さらに、天井には謎の液体で、意味不明の文字が書かれており、その隣にはニコちゃんマークのシールが貼ってありました。
あまりにもミスマッチなニコちゃんマークに、僕も友人も恐怖しました。

誰かいませんかー!!と大声で叫ぶも返事なし。
叫んだ後の静けさが余計に怖さを引きたてました。

部屋を出ようとした時、パクチ部屋にも時計があることに気づきました。
その時計の針は私たちの携帯の時刻と全く同じ時間を指していました。
パクチ部屋だけ正確な時刻を刻んでいました。
友人が外を見てくる、といい部屋を出て行きました。

パクチ部屋には窓が無く、クーラーがついていることに気づきました。
少しクーラーが効きすぎており、半袖では少し寒く感じました。
ダンゴムシは100匹ほど机の上に乗っており、見てて気持ちの良いものではありませんでした。

5分ほど経つと友人が戻ってきました。
が、様子があまりにもおかしく、ぜいぜい言いながら私にすがりついてきました
。お前ずっーとここにいたか!?と言われ、うなずくと、何時間ここにいた!?と言われました。
いやいや、5分しか経ってないぞ。というと、友人はなにか悟ったように、パクチ部屋の時計を見た後、僕にこういいました。

外はもう真っ暗だ。おそらく夜の9時はまわっているぞ。]
多分この部屋だけが正確な時刻を刻んでいるんだ。と。
しかも、友人曰く資料館の外を10分ほど歩いている最中はまだ夕方で、資料館に戻った時にパクチ部屋が無くなっていたらしいのです。
その後携帯を見たりパクチ部屋のあった場所を何度も行ったりきたりするうちに外が真っ暗になっていたのだとか。
しかし、友人の携帯は友人が10分数えた時に1分進む、という具合に、
本当の時刻(パクチ部屋の時刻)、友人がさっきまで体感していた時刻、パクチ部屋の外の時刻、この間で時間にズレがあったようなのです。

とりあえず、この資料館を出ないと何も始まらないので資料館を出て携帯の時刻をたよりにしながらただひたすら来た道を戻りました。
山は何日経過したかわかりません。麓に戻った時、携帯の指す時刻はまだ昼の3時でした。
友人は、パクチ部屋もまだ3時なんだろうな。と呟きました。山がおかしいのかパクチ部屋がおかしいのかよくわからないまま家に戻りました。
おそらく、私と友人の体験した1番怖い思い出です。

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