しかと

269 :宏之助(代理投稿):2006/08/12(土) 04:45:47 ID:+b2E+JKw0

ばーさんVS鹿の、ある意味後日談。 

私が住む実家とばーさんの甘味屋にほど近い。 
たまにばーさんの甘味屋や寺に行く途中、鹿を見かける事があった。 
その鹿は、例の佃煮の鹿とは違い、極々普通の鹿だ。 

んで妙な話なんだが、鹿と会うと、ジーッと見られてる気がするのだ。鹿に。 
私が鹿に目をやると鹿は目を反らすんだが、目を離すとまた視線を感じる。 

鹿に睨まれるなんて、思い当たるふしがあるだけに気分が悪かった。 

ウチのばーさんは、『信心があるのは良いが、人ん家のもんを持ってくのは許せん』と、 
鹿がパクりに来る度に鹿を追いかけ、追い付いた時(たまに足の遅いのが来たらしい)は 
ホウキで尻を叩いてたらしい。 

鹿が私を見つめるのも、そういった先祖の因縁からかも知れない。 
けどもただ睨まれてるのもしゃくなので、私はある遭遇日に 

『うがーっ!』 

吠えて鹿を脅かしてみた。 
だが、鹿は私を小馬鹿に(私の主観だが)した様な顔で一別すると、 
ソッポを向いて山に入っていった。 

あのばーさんとライバルだっただけあって、山の鹿は手強かった。

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