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ヤクザと漁師

きらら397@特選怖い話:2018/07/11 12:56 ID:vR1fARDA

 霊的な話ではないけど、ある意味それより怖かった。
 お盆休みで地元に帰った。
 オレの地元は、北国のど田舎の漁師町だが、ウニやアワビが採れ、その他にホッキガイやホタテなどの養殖もしている。地元的にも豊かな海が自慢で、漁師らもそのおかげで潤っている。
 その日、リビングのソファーで地方局のニュースを見ていた。
 やがて、地方局ならではの垢抜けない女子アナがしかめっ面で「本日の早朝、○○市○○町の海岸で男性の水死体が発見されました。男性には刺青があり、右手の小指が欠損しているため、地元の警察が暴力団関係者とみて身元を調べています」みたいなことを報じていた。○○市は少し離れた港町である。
 すると、同じくニュースを見ていたオフクロが呆れ顔で「まだそんなバカをするヤクザがいたのね」とせせら笑うように言った。
 「バカをするって、何をしたんだ」とオレが訊くと。
 「昔から貧乏なヤクザのシノギは密漁って決まっているのよ。命知らずっていうか、だからヤクザなんだろうけれど」と同情の欠片もない素振りで言う。
 「そっか〜。慣れない漁師の真似事をして、海に落っこちて死んじまったわけだ」とオレが納得したように言うと。
 えっ!とオフクロは驚いたようにこちらを向くと「アンタ、知らなかったの。でも、子供だったアンタに聞かせることでもなかったしね。まあ〜昔はそれほど珍しいことでもなかったし」と、うすら笑う。
 「何がどうゆうことよ?」とオレは訊いた。
 「夜の海で、ヤクザが密漁の現場を押えられたら、どうなるかしら。漁協の見回りなら、まあ〜捕まって警察に引き渡される。漁師なら半殺しにされて、そのまま沖に連れていかれで海にドボンよ。まあ〜十中八九は助からないわよね」オフクロは顔色一つ変えないで言う。
 「それって人殺しだろ!警察とか調べないのかよ」
 「警察って言うくらいだから、察しはついているでしょう、でも調べない。警察だってヒマじゃないし、不慮の事故で済ませるでしょ。それに、そういうバカをするのは「出稼ぎヤクザ」なの。地回りはどれだけ漁師が怖いか知っているから、そんなバカはしないわね」と、しれっと言った。
 オレは話としても怖ろしいとは思ったが、うすら笑いながら話すオフクロの方が怖ろしくなった。

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